♡小島香奈子の今日も朗読日和♡

🍀福岡市在住の朗読家・朗読講師の小島香奈子のブログです🍀

◆ほんとうに、にんげんは、いいものかしら…。


こんにちは。

朗読家・朗読講師の小島香奈子です。

 


2018年11月18日(日)  開催

『朗読とギターで奏でる物語』vol.2

 


聴きどころや

わたしの作品解釈などを

プログラム順にご案内しております。

(╹◡╹)🍀

 


前半の最後に

お届けするのは


新美南吉

『手袋を買いに』です。

 


小学校3年生のとき

国語の時間に

この物語と出会いました。

 

 

『手袋を買いに』には

 こどもの心を

 わくわくさせる要素が

 たっぷりあります。

 

お母さんの

     あたたかな愛情。

 

はじめての、雪。


雪のうえに、

      すっと映る ちいさな虹。


ふしぎな魔法。


こぎつねが経験する、

     いくつもの【はじめて】


…お買い物。

街の灯。

にんげんの街。

いろんな看板。

あたたかい毛糸の手袋。

にんげんのお母さんの子守唄。。。

 


こぎつねが 

瞳を輝かせて

体験したであろうことを


物語を読む

こどもたちも


瞳を輝かせながら

胸をどきどきさせながら


一緒に

体験することができる…

 


とくに

福岡うまれで福岡そだちの

わたしにとって


冒頭の

雪の場面は


とても

とても

興味深いものでした。

 


雪のうえで遊ぶと

てのひらが濡れて

牡丹色になること。。。

 


とりわけ

 


「雪を  さわると

   すぐ    

   あたたかく なるもんだよ」

 


という 

お母さん狐の言葉には

憧れさえ 感じました。

 


そうなんだぁ。。。

 


福岡では

あまり雪は降りませんし


まして

積もることなど

めったにありませんから

 


こぎつねのように

雪のうえで

おもいっきり

遊んでみたい。。。

 

すっと映る

ちいさな虹を

見てみたい。。。

 


雪のあたたかさを

じぶんの掌で

感じてみたい。。。

 


こどもの頃の

わたしは

そんな風に

思っていました。

 

 

けれど

なにかが


のどに刺さった

小骨のように


ちくりと


痛むことも

感じておりました。

 

それは


物語の

いちばん最後で

お母さん狐が つぶやく 言葉…

 


「ほんとうに  人間は いいものかしら。

 

   ほんとうに  人間は  いいものかしら。」

 

 

 

おとなになって

いろいろと調べてゆくうちに

 


この箇所には

推敲された跡があることを

知りました。

 


推敲の前は

狐の坊やに

手袋を売ってくれた

人間にたいして

 

お母さん狐は

肯定的な言葉を

つぶやいていたとのこと。。。

 


だのに

 


南吉自身、

人を信じることが

できなくなるような

つらい出来事があり…

 


お母さん狐の

最後の言葉が

変わったというのです……

 

 

けれど

わたしは


お母さん狐の言葉には


人間に対して


完全に

否定することをせず


もしかしたら

善いものであるかもしれないと


あるいは

そうあってほしいと


祈るように思う

南吉の心を

感じるのです。。。

 

そして

 

この物語ぜんたいに

みちあふれている

母親の愛…

 

『やまなし』では

お父さん蟹を通して

【父性】を

表現することに

挑戦したいと思っていますが

 

 

『手袋を買いに』では

 お母さん狐や

 にんげんのお母さんを通じて

 

【母性】を

 

表現することに

挑戦したいと思っています。

 

 


小島香奈子

 

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