♡小島香奈子の今日も朗読日和♡

🍀福岡市在住の朗読家・朗読講師の小島香奈子のブログです🍀

◆ゆく河の流れは。。。

 


こんにちは。

朗読家・朗読講師の小島香奈子です。

 


明日

審査員を

務めさせていただく

 


平成最後の

福岡県 高文連高校放送コンテスト

福岡地区大会・朗読部門の

 


課題作品を

すべて読み終えました🍀

 


①『  芙蓉の人  』新田次郎

 (  文春文庫・2014年発行以降のもの  )

 


②『  食べごしらえ  おままごと 』

      石牟礼道子  (  中公文庫  )

 


③『 羊と鋼の森  』宮下奈都( 文春文庫 )

  

 

④  『  デーミアン  』

        ヘルマン・ヘッセ:著

        酒寄進一:訳(  光文社古典新訳文庫  )

 


⑤  『  方丈記鴨長明

 


今回はこの5作品でした。

 


『  方丈記』…‼︎

 


学生時代を

懐かしく思い出された方も

多いのではないでしょうか…。

 


鴨長明によって

鎌倉時代に書かれた『  方丈記  』は

 


日本中世文学の

代表的な随筆とされ…

 


枕草子』や

『  徒然草  』と並んで

 


我が国の

三代随筆のひとつとされています。

 

 

 

              ゆく河の流れは絶えずして、

              しかも、もとの水にあらず。

 

 

 

という

有名な冒頭は

 


日本人なら

知らない人はいませんよね🍀

 


わたしは

今回、生まれて初めて

『  方丈記  』の原文をすべて読みました。

 


大会の規定では

 


出版社は

問わないとのことでしたので

 


解説や註釈や

付録や参考資料が

 


たいへん

充実しており

 


現代語訳が

生き生きと、ダイナミックな

 


簗瀬一雄さんの

現代語訳付

 


角川ソフィア文庫

『  方丈記  』を購入しました。

 


これは

とてもわかりやすい本でしたよ ♪♪

 


なんといっても

簗瀬一雄さんの翻訳の

 


語りかけてくるような

息遣い…

 


この現代語訳を読んで

 


内容を

充分に理解したうえで

 


あらためて

原文を声に出してみると…

 


750年も

昔の作品なのに

 


とてもリアルに

 


鴨長明

感じることができました。。。🍀

 


学校では

 


【  格調高い和漢混淆文  】と

 


習ったことを

覚えていますが…

 


確かに…。

 


原文を

朗読してみると…

 


歯切れがよく

骨格のがっしりとした

 


男らしく勇壮な

漢文調の響きをベースに

 


なんとも

こまやかで

繊細優美で、たおやかな

 


匂うように

柔らかな言葉も散りばめられて…

 


あぁ…

これこそが

和漢混淆文なのだ。。。

 


と、

頭だけではなく

 


身体で

実感することが出来るのです🍀

 


また

たとえば

このくだりなんかは

 


清少納言の『枕草子』の

冒頭を、ふっと思い起こしたりします。。。

 

 

                    春は、藤波を見る。

                    紫雲のごとくして、

                    西方に匂ふ。

 


                    夏は、郭公を聞く。

                    語らふごとに、

                    死出の山路を契る。

 


                    秋は、ひぐらしの声、

                    耳に満てり。

                    うつせみの世を

                    悲しむかと聞こゆ。

 


                    冬は、雪をあはれぶ。

                    積り消ゆるさま、

                    罪障にたとへつべし。

 

 

【  簗瀬一雄氏の現代語訳】

 


春は、藤の花の

波のように揺れるのを見る。

 


それは

弥陀来迎の紫雲に似て、

西方に咲きはえている。

 


夏は、

ほととぎすのなくのを聞く。

 


聞くたびに、

死出の山路の案内をしてくれと、

約束しておく。

 


秋は、ひぐらし蝉の声が、

耳にいっぱいに聞こえる。

 


その声は、

はかないこの世を

悲しんでいるものかと聞きなされる。

 


冬は、雪をしみじみと見る。

 


雪の積もったり、

消えたりする様子は、

 


人間の犯す罪障が、

迷いによって生じ、

懺悔によって消えるさまに

たとえることができよう。

                                   (引用終わり)

 


ところで

この『  方丈記  』には

 


驚くほど次々と…

大火・辻風・飢饉・伝染病に

都やその周辺が襲われるさまと

 

 

恐ろしい

地震の様子が描かれています。。。

 


【簗瀬一雄氏の現代語訳より】

 


ふだんなら

びっくりするくらいの地震

 


一日に二、三十回

ゆれない日はない。(中略)

 


その余震は

三カ月ほどもあったろうか。

 

 

(  ※ 別の段の記述  )

 


恐ろしいものの中でも、

特に恐れなきゃあならないのは

 


ただ地震だなあと、

しみじみ痛感したことだった。

                            (引用終わり)

 

 

 

わたしは

『  方丈記  』を読んで

 


この本は

紛れもなく

 


この日本で

書かれたものであり…

 


わたしたちは

 


鎌倉時代

生きたひとびとの子孫であるのだと

強く強く実感しました。。。

 


今の日本には

飢饉こそないものの…

 


時代が

変わっても

わたし達はこの国で

 


地震を恐れ…

火事や辻風にも悩まされ…

 


伝染病の流行にも

苦しめられています。。。

 


ほんとうに…

 


          ゆく河の流れは絶えずして、

          しかも、もとの水にあらず。

 

 

 

ですね…。

 

 

 

小島香奈子

 

f:id:yoakenococoa:20190427173246j:image

         🍀  小島香奈子の朗読公演情報  🍀

       https://acros-info.jp/events/16871.html

 🍀  小島香奈子の朗読ワークショップ情報  🍀         https://acros-info.jp/events/16873.html