こんにちは♬
朗読家・朗読講師の小島香奈子です🍀
更新しました♬.*゚
太宰治の随筆
『 I can speak 』です☆。.:*・゜☆。.:*・゜
とても
短い随筆ですが、
おそらく太宰治が
ほんとうに見聞きしたと
思われるエピソードが、
微笑ましく、
みずみずしく…
そして
ちょっぴり切なくて…
とっても
素敵な作品です
٩(*❛▽❛)۶・゚:✩ *:゚☆。.:*・゜☆。.:*・゜
ぜひぜひ
お聴きくださいませ♬.*゚
もしも
お気に召しましたら…
チャンネル登録して頂けると、
とっても嬉しいです🍀
コメントも、大歓迎です♬.*゚
🍒テキストは、青空文庫より
使用させて頂きました🍒
❀.❀. ( ˶'ᵕ'˶) ❀.❀.
『I can speak』 太宰治
くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。この世とは、あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷の内に、見つけし、となむ。
わが歌、声を失い、しばらく東京で無為徒食して、そのうちに、何か、歌でなく、謂わば「生活のつぶやき」とでもいったようなものを、ぼそぼそ書きはじめて、自分の文学のすすむべき路すこしずつ、そのおのれの作品に依って知らされ、ま、こんなところかな? と多少、自信に似たものを得て、まえから腹案していた長い小説に取りかかった。
昨年、九月、甲州の御坂峠頂上の天下茶屋という茶店の二階を借りて、そこで少しずつ、その仕事をすすめて、どうやら百枚ちかくなって、読みかえしてみても、そんなに悪い出来ではない。あたらしく力を得て、とにかくこれを完成させぬうちは、東京へ帰るまい、と御坂の木枯つよい日に、勝手にひとりで約束した。
ばかな約束をしたものである。九月、十月、十一月、御坂の寒気堪えがたくなった。あのころは、心細い夜がつづいた。どうしようかと、さんざ迷った。自分で勝手に、自分に約束して、いまさら、それを破れず、東京へ飛んで帰りたくても、何かそれは破戒のような気がして、峠のうえで、途方に暮れた。甲府へ降りようと思った。甲府なら、東京よりも温いほどで、この冬も大丈夫すごせると思った。
甲府へ降りた。たすかった。変なせきが出なくなった。甲府のまちはずれの下宿屋、日当りのいい一部屋かりて、机にむかって坐ってみて、よかったと思った。また、少しずつ仕事をすすめた。
おひるごろから、ひとりでぼそぼそ仕事をしていると、わかい女の合唱が聞えて来る。私はペンを休めて、耳傾ける。下宿と小路ひと隔て製糸工場が在るのだ。そこの女工さんたちが、作業しながら、唄うのだ。なかにひとつ、際立っていい声が在って、そいつがリイドして唄うのだ。鶏群の一鶴
、そんな感じだ。いい声だな、と思う。お礼を言いたいとさえ思った。工場の塀をよじのぼって、その声の主を、ひとめ見たいとさえ思った。
ここにひとり、わびしい男がいて、毎日毎日あなたの唄で、どんなに救われているかわからない、あなたは、それをご存じない、あなたは私を、私の仕事を、どんなに、けなげに、はげまして呉れたか、私は、しんからお礼を言いたい。そんなことを書き散らして、工場の窓から、投文しようかとも思った。
けれども、そんなことして、あの女工さん、おどろき、おそれてふっと声を失ったら、これは困る。無心の唄を、私のお礼が、かえって濁らせるようなことがあっては、罪悪である。私は、ひとりでやきもきしていた。
恋、かも知れなかった。
♬.*゚続きは、青空文庫でどうぞ♬.*゚
最後まで
読んでくださって
本当に
どうもありがとうございます❣️
🍀(๑❛ᴗ❛๑)🍀
あなたの毎日にも
たくさんの
幸せが訪れますように…♬
小島香奈子
🍀朗読ここ・からあなたへ
プロジェクト事務局 ・公式LINE🍀
朗読イベントの
情報などをお届けします♬.*゚
ご興味のある方は
つながって頂けたら
とても嬉しいです☆。.:*・゜☆。.:*・゜
🍒オーディオブック販売サイト
『 kikubon(きく本)』🍒
文学作品・名作の
朗読音源を販売しております♬
会員登録は無料です。
よろしければ、ぜひぜひ♬
❀.❀. ( ˶'ᵕ'˶) ❀.❀.
🍒小島香奈子のkikubon朗読作品一覧🍒
🍒YouTube🍒
🍒Twitter🍒
🍒stand.fm 🍒
🍒 お問い合わせ 🍒
yoakenococoa@gmail.com
朗読イベント出演のご依頼や
朗読レッスンのお問い合わせなど
どうぞお気軽に
お問い合わせくださいませ🍀
♬.*゚(๑❛ᴗ❛๑)♬.*゚
#朗読
#太宰治
#随筆
#随筆の朗読
#オーディオブック
#小島香奈子