こんにちは。
朗読家・朗読講師の小島香奈子です。
わたしにとって
🍀 力を蓄える月 🍀 が
始まりました♬
１ヶ月という時間は
一見、長いように見えますが…
実は
あっという間に
過ぎてしまう時間でもあります…。
（ 学生時代の夏休みの
なんと
あっという間に
過ぎていってしまったことか…！！ ）
それでなくとも
３月は
《 去る 》と言われる月…。
気持ちを
切り替えて…
丁寧に
前向きに…
悔いのない毎日を
過ごしたいと思っています…🍀
ところで♬
週末に
終日予定していた
朗読の個人レッスンを
すべて
休講としましたので…
かねてより
読みたいと思っていた
『 柳橋物語 』と
『 むかしも今も 』を読みました…🍀
（ 『 柳橋物語・むかしも今も 』
新潮文庫 ）
今日はそのうち
『 柳橋物語 』の
お話をしたいと思います…🍀
まずは
なんと言っても
男性の筆とは
思えないほどに
柔らかく
なめらかな言葉の運び…
たおやかで
馥郁たる言葉の味わいに
唸るしかない名作でした…🍀
そして
今、目の前で
起こっている出来事かのような
五感に
訴えかけてくる
臨場感のある描写…！！
まるで
江戸の下町を
３Dで
体験したかのような
鮮やかで
確かな感触が
生々しく残る作品でした…🍀
巻末に
寄せられた
原田マハさんの
文章でも書かれていますが
出だしの
描写の上手いこと…！！
（ 以下 冒頭を引用 ）
青みを帯びた皮の、
まだ玉虫色に光っている、
活きのいい
みごとな秋鯵だった。
皮をひき
三枚におろして、
塩で緊めて、そぎ身に作って、
鉢に
盛った上から
針しょうがを散らして、
酢をかけた。
…見るまに肉が
ちりちりと縮んでゆくようだ、
心は
はずむように楽しい、
（ 引用 終わり ）
わたしは
この冒頭からして
生唾を
ごくん、と飲み込み…
あっという間に
『 柳橋物語 』の世界に
惹きこまれました。。。🍀
山本周五郎という作家は
風景の描写も
実に巧みなひとですが…
登場人物の
生き生きとしていることは
まるで
実在の人物が
目の前にいるかのようです…🍀
主人公のおせんも…
おせんが慕う庄吉も…
おせんを
一途に愛する幸太も…
おせんの祖父・源六も…
おせんの友人・おもんも…
そして
おせんが
大切に育てている
可愛い可愛い幸太郎も…
みんな
わたしの中で
リアルな造形を持って
本当に生き生きと
泣いたり、笑ったり、していました…。
ましてや
舌を巻いたのは
江戸の
大火事の場面です。。。
この物語には
洪水の場面もあるのですが…
やはり
圧倒的な臨場感を持って
迫ってきたのは、大火の場面でした…。
あまりにも
臨場感のある描写に
わたしは
鳥肌がたち…、喉が渇き…
ひとびとの
悲鳴や怒号が
この耳に
聞こえてくるようで…
幾たびも
文庫本を閉じかけました…。
頭を出すな。
……髪毛に火がつく、
ひっこんでろ。
大火に
追われて
命からがら
河岸にまで辿り着き…
石の隙間に
身体を寄せて…
火の粉を
除けるための
布団にくるまったおせんに
幸太が
怒鳴りつける言葉です…。
髪毛に、火がつく…。
ゾッとするほどの
リアリティに
わたしの
背筋が冷たくなりました…。
そのときふっと
学生時代に
平和学習で学んだ
戦争の絵が思い出されました…。
そして
この小説の前編が
昭和21 年・終戦の翌年に
書かれたものであることを知り…
いろんなことが
腑に落ちたように思いました。。。
凄まじい
大火の描写…
阿鼻叫喚地獄のリアリティは
炎を知っているひとのもの…。
大火のあとや、
洪水のあと…、
疫病が流行ったあとの
江戸の
町の変わりようは…
戦争の
前と後で
変わってしまった
日本の姿を
重ねていたのに違いありません…。
そして
貧しい中でも
何とか
助け合いながら
懸命に
生きてゆくひとびとの姿は…
戦後の
日本人の姿そのものだったのに
違いありません。。。
物語の舞台こそ
江戸の下町ですけれど
その下敷きには
実体験があるのではないかと
わたしは
思いました…。
社会全体が
苦しくて貧しいときに
助けあって
懸命に生きるひとびとの姿は
時代を超えて
ひとの心を打つものです…🍀
主人公の
おせんを襲う不幸の数々。。。
ひとの力では
どうすることも出来ない天災の数々。。。
おせんの身には
これでもか
これでもかと
不幸せな出来事が襲いますが…
（ わたしは何度も天を仰ぎました…。）
それでも
顔を上げて
前を向いて
生きてゆくおせんの姿には
胸が
ふるえました。。。🍀
なんて健気で
なんて強い女性なのだろう…！！
この
物語の結末を
どのように受け止めるかは
読むひとによって
まったく異なるでしょうが。。。
わたしは
本当に胸が
すっきりとしました…！！
「 あっぱれ、おせん！！ 」
そう叫んで
実に満足して、本を閉じました…🍀
おすすめの物語ですよ♬
🍀（╹◡╹）🍀
小島香奈子
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