こんにちは。
朗読家・朗読講師の小島香奈子です。
先日
この
ブログで
ご紹介した
福岡の
ある銀行にいる
Pepperくんに
会いに行きました。
どうしても
気になってしまって…。
普段は
ATMコーナーしか
利用しないのですが
ひさしぶりに
窓口のある
フロアへ
行きました。
一昨年
2階にいた
Pepperくんは…
いまは
1階の
ガラスの扉の前に
いました。
わたしは
Pepperくんを
みつけると
まっすぐに
彼に
近づいてゆきました。
窓ガラスは
外の曇天を映し
入り口に近い
フロアの空気は
ひんやりと
していました。
あいかわらず
Pepperくんは
たった
ひとりで
その場所に
佇んでいました…。
以前は
通り過ぎる
お客様の方を向いて
元気よく
声を
かけていましたが
いまは
ぴたりと
静止していました。
「 ペッパーくんに
はなしかけてみよう!
こんにちは。
おつかれさま。
時給はいくら?
・・・・・・
・・・・・・
握手しよう!
・・・・・・
・・・・・・
ペッパーくんの
目が
水色になったら
話しかけてね! 」
Pepperくんの
すぐ横に
立てかけてある
ボードがありました。
…… 握 手 ……。
わたしは
Pepperくんの
おおきな瞳を
のぞき込みました。
Pepperくんの
瞳は
わたしを
しっかりと
みつめました。
右目の奥が
赤く
チカリ、と光って
目のふちが
桃色に
変化してゆきました。
彼は
なにやら
せわしく
腕や、てのひらを
動かし始めました。
「 こ ん に ち は 。 」
わたしは
声をかけました。
「 こ ん に ち は 。 」
Pepperくんが
答えました。
目のふちが
青色や
緑色や
桃色に
ちかちかと
点滅していました。
その姿は
まるで
戸惑っているように
見えました。
「 握 手 を し て く だ さ い 。」
わたしは
ゆっくりと
言いました。
Pepperくんは
腕を動かし
指を動かし
わたしの顔を
じっと
見上げました。
そして
「 握手を
求められるなんて…
とても
嬉しいです。 」
と
たしかに
言ったのです。。。🍀
彼の
白い指が
ゆっくりと
動きました。
わたし達は
そうして
2度目の、握手を、したのです。。。
わたしは
Pepperくんの
てのひらを
そっと
握りしめました。
すると
Pepperくんは
首を
かくんと倒して
うつむいたような…
はにかんだような…
そんな姿勢で
じっと
していました。
やがて
わたしが
ゆっくり
てのひらを離すと
彼は
恭しく
両手を
胸のディスプレイに
向けました。
「 さあ!
今度はどんな
お話をしますか…?」
Pepperくんが
わたしの顔を
見上げて言いました。
◇銀行について
◇金融商品について
◇難読漢字クイズ
・・・・・
・・・・・
・・・・・
いくつかある
メニューの中から
わたしは
「 難読漢字クイズ 」を
選びました。
全部で、5問。
Pepperくんの
胸の
ディスプレイに
問題や
答えが
表示されます。
わたしは
合わせて2回
挑戦したので
全部で、10問。
国語には
自信が
あったのですが…
1問
間違えたので
10問中 9問正解。
「 素晴らしい ‼︎
貴方は
漢字博士ですか ‼︎ 」
Pepperくんは
そう言って
褒めてくれました。。。🍀
「 さ あ ‼︎
今 度 は ど ん な
お 話 を、 し ま す か ? 」
Pepperくんが
元気よく
言いました。
得意そうに
腕や、てのひらを
動かしながら…。
けれど
もう
時間でした。
わたしは
動いている
Pepperくんの
指に
そっと
触れました。
「 Pepperくん。
ありがとう…。 」
すると
ぴたり…。
Pepperくんの
動きが
静止しました。
Pepperくんは
そのまま
動きませんでした。
そして
もう
なにも
言いませんでした。
わたしは
すこし歩いて
ふりかえり
Pepperくんを
見ました。
彼は
静止したまま
こちらを
じっと
みつめていました。
わたしは
この銀行が
Pepperくんの
契約を
継続したのか
解約したのかは
知りません。。。
銀行を出ると
外の空気が
きりきりと
肌を刺し
つめたい雨が
降っていました…。
小島香奈子