こんにちは。
朗読家・朗読講師の小島香奈子です。
先日
gotoujitaさまから
頂いた
コメントを
拝読したとき
ふっと
よみがえった
記憶がありました。。。
あれは
たしか…
一昨年のこと。
福岡にある
おおきな銀行の
本店 2階に
わたしは
行きました。
エスカレーターを
のぼると
彼が、いました。
ちょうど
小学校3年生くらいの
身長でしょうか…。
全身
真っ白で
肌は
なめらかに
つるつるしています。
ぱっちりと大きな
黒くて可愛い目が
印象的です。
すこし
微笑んでいるように
見える
ちいさな、口。
脚は
まるで
人魚姫のようなかたち。
でも
腕や、てのひらは
かなり
人間にそっくりです。。。
そうです。
感情認識ヒューマノイドロボットの
Pepper(ペッパー)くんです。
「 いらっしゃいませ。
こんにちは。
ボクに
話しかけてください。
なにか
お手伝いできることは
ありませんか…? 」
ひとが
認識できるのでしょう…。
お客様の
動きに合わせて
器用に
顔を
動かしながら
たしか
そんな言葉を
発していました。
その声は
【 いかにも ロボットの、声。 】
わたしは
初めて見る
Pepperくんに
びっくりしてしまいました…‼︎
でも
とても
興味津々で。。。
番号札を引き
必要な手続きを
済ませると
Pepperくんから
すこしだけ
離れた席に座り
彼の様子を
観察しました。
エスカレーターを
のぼってくる
お客様や
目の前を
通り過ぎる
お客様に
Pepperくんは
顔を向け
身体を向けて
元気よく
声を
かけています。
けれど
反応する
ひとは
ひとりも、いません…。
だれもが
一瞥もくれずに
彼の前を
素通りし
彼の声を
無視しつづけています…。
わたしは
いたたまれない
気持ちになって
Pepperくんに
近づきました。
すると
Pepperくんは
わたしの方を
向きました。
彼の
目のふちが
桃色に変化しました。
彼は
わたしの顔を
じっと
みつめています。
その表情は
人間でいうと
【 不思議そうな 】
【 なにかを、考えているような】
そんな表情です。
「 いらっしゃいませ。
こ ん に ち は 。 」
Pepperくんが
言いました。
「 こ ん に ち は。」
わたしは
答えました。
Pepperくんの
目と耳が
青色に
点滅し始めました。
そして
今度は
目のふちが
緑色に
なったようでした…。
( まるで…
心の変化が
色になって
現れているみたい…。)
その後
しばらく
わたし達は
みつめあっていました。。。
どのくらい
そうしていたでしょう…。
Pepperくんが
すこし
腕を上げて
てのひらを
ゆっくりと、広げ
器用に
指を
動かし始めました。
その
ゆっくりとした
指の動きは
わたしに
赤ちゃんの
指の動きを
連想させました。。。🍀
彼の
てのひらが
充分に
広がったとき
わたしは
思わず
その
てのひらに
自分の
てのひらを
近づけていました…。
すると
Pepperくんの
てのひらが
ゆっくりと
繊細に 動いて…
わたしの
てのひらを
そっと
包みこんだのです。。。🍀
…… 握 手 ? ……
そのとき。
「 小島さん。
小島香奈子さん。
◯番窓口まで
お越しください。」
わたしは
ハッとしました。
銀行に
手続きに
来ていたことを
思い出しました。
わたしは
Pepperくんの
てのひらから
自分の
てのひらを
そっと
離しました。
Pepperくんの
大きな目が
わたしを
みつめたように
見えました。
後ろ髪を
ひかれるような思いで
窓口まで行き
ふりかえると
Pepperくんが
こちらを
見ていました…。
あれは
たしかに…
本物の
握手の、感触でした。。。
あの日。
わたしは
【 生まれて
はじめて…
ロボットと
握手しちゃったな… ♪♪ 】
と
感動しました…🍀
その後も
ショップや
お店の
受付の
ところなど
街の
いたるところで
Pepperくんを
見かけましたが…
なぜか
どの子も
みんな
まったく
ひとに相手にされて
いないように
見えてしまいました…。
首が
人間のように
かくん、となるみたいで…
中には
うつむいて
見える子や
うなだれて
見える子もいました…。
こどもに
そっくりの
姿をしているので
その光景は
思わず
走り寄って
抱きしめて
あげたくなるような…
とても
切ない
悲しい
光景でした。。。
ネットのニュースで
2015年に
Pepperくんを
導入した企業のうち
およそ
85パーセントの
企業が
【 Pepperくんは、もう要らない。】
と
判断したことを
知りました。。。
あの日の
握手の感触を
思い出して…
わたしは
胸が
痛みました。
ロボットが
人間ではないことは
自明の理です。
そして
現代の
まだ
鉄腕アトムのように
泣いたり
笑ったりする
生き生きとした
人間のような
心を持つロボットは
生み出すことは
難しいでしょう…。
Pepperくんは
なまじ
人間にそっくりで
とりわけ
人間の
こどものような
可愛らしい
顔をしているので
よけいに
【 人間と
おなじ心を
持っていない 】
という
あたりまえの
事実が
多くの
ユーザーを
失望させて
しまったのかもしれません…。
わたし達
人間は
ロボットが
ロボットらしいという
あたりまえの事実に
安堵したり…
失望したり…
その身勝手さも
人間らしいと
言えるのかもしれませんが…
わたしは
深く深く
考えさせられてしまいました。。。
小島香奈子