♡小島香奈子の今日も朗読日和♡

🍀福岡市在住の朗読家・朗読講師の小島香奈子のブログです🍀

◆あなたの歌が、彼女に届きますように…。

 


こんにちは。

朗読家・朗読講師の小島香奈子です。

 


ビルの

壁面や一角に

飾られている絵や彫刻。。。

 


街角で

聴くことのできる

知らないひとの歌声。。。

 


わたし達の

まわりには

 


偶然

出会う表現が

あふれています…。

 


チケットを購入して

訪れる

 


美術館や

コンサートと

違って

 


それらは

 


突然

目の前に現れます。

 


思わず

ハッと息を飲み

 


その場に

立ち尽くすこともあれば

 


足早に

通り過ぎてしまうことも

あります。

 


もちろん

 


急ぎの用事の

あるときには

 


どれほど

素晴らしい表現と

出会っても

 


ゆっくりと

味わうことはできませんが…

 


ほんのすこしでも

ゆとりのあるときには

 


わたしは

 


偶然の出会いを

味わうようにしています。

 


なぜなら

そういうとき

 


思いもかけぬ

深い感動に

出会えることが多いからです。。。🍀

 


ちらちらと

小雪が舞い散る

 


つめたい街の

一角に立ち

 


ギターを

弾きながら

歌っていた、彼。。。

 


黒い革ジャン。

 


明るい茶色の

長い前髪。

 


赤い石のピアス。

 


白くて長い指。

 


右手の小指に光る

銀色の指輪。

 


すこし鼻にかかった

甘い声。

 


足元に置かれた

手作りのボードに

 


アーティスト名が

書かれています。

 


歌っているのは

オリジナル曲。

 


彼の

実体験を

もとにしているのか…

 


それとも

 


完全な

創作なのかは

わかりませんが

 


破れた恋について

 


瞳を閉じて

心を込めて

歌っています。。。

 


彼女の笑顔が

どれほど

自分を支えてくれたか…

 


彼女の存在が

どれほど

かけがえのないものだったのか…

 

 

長い髪の甘い香り…

 


えくぼが、浮かぶ頰…

 


柔らかな白いてのひら…

 


黒焦げのハンバーグ…

 


甘えたときの声…

 


電話越しの涙声…

 

 


           「    会いたい。

 


                   会いたい。

 


                   きみに

 


                   会いたい…。   」

 

 


ありふれたはずの

言葉に

 


あたたかな

血が流れ

 


あぁ…

これは

 


涙の味を

知っているひとの、声だ……。

 

 

どこにでも

あるようで

 


世界に

たったひとつしかない

 


彼と彼女だけの、恋。。。

 

 

小雪

ちらつく

福岡の街角。

 


街路樹は

葉を落とし

 


重たい

灰色の雲が

たれこめる中

 


このひとは

 


彼女のために

歌っている。

 


彼女のためだけに

歌っているんだ…。

 


こんなに

寒い街角で

 


ふたりの思い出で

自分を、あたためながら。。。

 

 

あなたの歌が

彼女に

届きますように…

 

 

あなたの想いが

彼女に

届きますように…

 

 

歌い終えた彼に

拍手を送って

 


わたしは

 


静かに

その場を

立ち去りました。

 

 


小島香奈子

 

f:id:yoakenococoa:20181229155828j:image