こんにちは。
朗読家・朗読講師の小島香奈子です。
毎年
3月1日になると
かならず
思い出すことがあります🍀
あれは
高校の
卒業式の日のこと…
教室から
卒業式が
行なわれる講堂に
移動している
最中のことでした。
（ わたしが
高校生でいられる
時間は…
もうすぐ
終わるんだなぁ…。 ）
すこしだけ
センチメンタルな
想いを
噛みしめながら
感慨深く
廊下を歩いていると…
ある男の子が
列を乱して
わたしに
近づいてきました。
ちなみに
彼は ３年７組。
わたしは ３年５組。
棟が違うので
７組の列から
５組の列に移動するには
かなり
長い距離を
歩く必要があります…。
しかも
わたしの高校は
上靴が
スリッパのような
形だったため
廊下を
小走りしようものなら
パタパタ
ペタペタ音がして
ちょっと
目立ってしまうのでした。。。
しかも
この男の子は
わたしに
向かって
こう叫んだのです…‼︎
「 小島さんっ‼︎
胸を張るのよっ‼︎
ほらっ‼︎
胸を、張るのよっ‼︎ 」
彼は
女の子のような
言葉を話す男の子でした。
みんな
ぎょっとして
彼を見ました…。
彼は
わたしの親友と
おなじクラスで
放送部員では
ないのに
なぜか
放課後には
よく
放送部の
部室にいました。
いつのまにか
仲良くなって…
放課後
放送部の部室で
たわいもない話で
盛り上がっては
よく
一緒に笑った男の子でした。。。🍀
廊下を
歩きながら
まわりの
みんなが
わたし達を
みつめて
くすくす
笑っていましたが…
彼だけは
真剣な表情で
わたしを
みつめていました。
わたしは
ハッとしました…。
実は
3月1日の
高校の卒業式の
時点では
わたしの
手元には
一通の
合格通知も
届いていませんでした。
次々と届く
不合格の通知。。。
結果は
残すところ
あとひとつだけ…。
もうほとんど
浪人が
確定しかかっている状態で
わたしは
高校の卒業式を
迎えていたのでした。。。
わたしには
どうしても
行きたい大学がありました。
浪人してでも
またその大学を目指して
頑張るつもりでした。
ですから
決して
落ちこんでいたわけでは
なかったのですが…
（ どちらかというと
高校時代が 終わる切なさに
ひたっていたのでした…。 ）
けれど
彼の目には…
わたしが
ひどく落ちこんで
うつむいているように
見えたのでしょう。。。
先生に
注意されながら
何度も
何度も
【 小島さんっ‼︎
胸を 張るのよっ‼︎ 】 と
叫んでくれた、彼。。。
最後は
先生に 引きずられるようにして
７組の列に
連れ戻されていましたが…
わたしは
彼に、笑顔を向けました。。。🍀
そうだ…。
これから、卒業式だ…。
うつむいていたら
駄目だ…‼︎
ちゃんと
顔を上げて
ちゃんと
前を向いて
胸を張って
堂々と、講堂に入ろう。。。‼︎
わたしの３年間に
胸を、張るんだ。。。‼︎
そうして
わたしは…
胸を張って
講堂の床を
一歩、一歩…
踏みしめて
歩いたのでした。。。🍀
あれから
長い長い時が 流れました。。。
高校を
卒業したあと
あの男の子には
一度も会っていません。。。
けれど
毎年
3月1日になると
わたしは
かならず、思い出すのです。
わたしのために
彼が
叫んでくれた
あの言葉を。。。🍀
「 小島さんっ‼︎
胸を張るのよっ‼︎
ほらっ‼︎
胸を、張るのよっ‼︎ 」
小島香奈子
🍀小島香奈子の朗読イベント情報（╹◡╹）🍀 https://acros-info.jp/events/16602.html
