こんにちは。
朗読家・朗読講師の小島香奈子です。
明日
審査員を
務めさせていただく
朗読コンテストの為に
課題作品を
楽しく丁寧に
読みこんでいます。。。🍀
昨年
お亡くなりになられた
石牟礼道子さんの
『 食べごしらえ おままごと 』は
（ 中公文庫 ）
驚くほど
柔らかで…
みずみずしく
鮮やかで…
まろやかな言葉で
綴られた随筆集です。。。🍀
全編
朗読したくなるような
心地よいリズムの文章…
（ わたしは 何度も
思わず 文章を朗読しては…
その響きの美しさと
まろやかさを
味わわずには
おれませんでした…🍀 ）
美しく豊かで
大地の匂いや…
海の潮風の匂いのするような…
いのちの輝きに
溢れているような…
生命力が
言葉となって
ほとばしり出ているような…
そんな
ぴちぴちした
文章で書かれた
食べ物の随筆です。。。🍀
もちろん
ただのグルメ本などでは
ありません…。
そこには
地に足をつけて生きる
たくさんの
ひとびとが
生き生きと描かれ…
その
暮らしぶりや、生き方や…
文化や、風習や
日本人の魂といえるものが
光を放っているのです。。。🍀
随所に
登場する
熊本・天草地方の言葉の
なんという魅力。。。‼︎
福岡生まれで
熊本に
親戚がいるわたしには
馴染みが深く
響きが心地よい言葉も多くて…
ひとびとへの
親しみの念がこみあげます。。。🍀
けれど…
みずみずしく
柔らかく描かれた
美味しそうな
食べ物の向こう側に
鮮やかに
浮かびあがってくるものは……
今の
日本の
社会からは
消えてしまった…
尊く、かけがけのないものばかり…。
あぁ…。
わたしは
こんなにも
豊かな国に
生まれていたのだなぁ…。
けれど
何もかもが…
まるで
時代劇のように、遠く、遠く…
もう
わたしたちは
このような暮らしに
戻ることは、とても出来ない……。
この作品には
たびたび
石牟礼さんの
こども時代の思い出が
語られます。。。
昭和３年生まれの
石牟礼さんのこども時代は
現代の
日本社会を生きる
わたしには
あまりにも
遠く感じられ……
ここに
描かれた世界の未来が
今の
日本であることが
とても信じられないのです。。。
そして
『 お米 』という章に登場する
百歳をこえた
お婆さんの言葉……
（ このお婆さんは
1960年頃に100歳を超えていた方です。）
今の世はなあ、楽も楽よ。
（ 中 略 ）
あたいなんどの時代には、
おなごちゅうもんは、
もぐらよりか蟹よりか、
哀れなもんごわしたど。
との言葉に触れると…
昨日
読み終えたばかりの
『 芙蓉の人 』（ 明治時代のお話 ）
に描かれていた
激しい
女性蔑視も思い出され…
時代の変化は
悪いことばかりでは
なかったようにも感じられたりして……
なんとも
複雑な気持ちに
なってしまいました。。。
文章そのものは
たいへん美しく、リズムも良くて
思わず
朗読したくなる作品ですが…
この作品の
底に流れる…
なにか
怖くて、切ないもの…
とても深くて、かなしいもの…
それを
平成生まれの
高校生たちは
どのように感じて
どのように
朗読するのだろう……。
この作品が
抱える深い深いなにかを
どのくらい掴みとり
表現してくれるのだろう……。
うーん…‼︎
明日が、とても楽しみです。。。🍀
小島香奈子
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